民法 抵当権 妨害排除請求

学習

抵当権者は抵当権に基づく妨害排除請求ができます


いや言葉の意味はなんとなくわかるが、意味をこねくり回すのがブログ学習の意義でありますんで、冒頭の文章が意味するところの少し手前に戻ります。



物権には、物権的請求権があります。

当然所有権を元にした説明が身近で一番わかり易いですが、
せっかく学習してきたんだし、地役権に基づく物権的請求権で説明してみましょう。


1、物権的返還請求権

承役地の地役権者が敷地内に芝生の通路を作り、要役地の所有者に対して、月2000円で通っていいよと説明、互いに承諾しました。


しかしその承役地に、要役地の人間でもない第三者が勝手に芝生に座り込み、
要役地の人間に向かって「ここを通りたくば俺を倒してから通れ!」
と始めたらどうでしょう?



承役地は地役権に基づいて、第三者に対し芝生の通路を返せと請求できます。


いや、所有権に基づいて返せ、でいいような気が。

2、物権的妨害排除請求権

承役地の地役権者が敷地内に芝生の通路を作り、要役地の所有者に対して、月2000円で通っていいよと説明、互いに承諾しました。


しかしその承役地に、要役地の人間でもない第三者が勝手にレンガの道を造り、
要役地の人間に向かって「なんとレンガ道のご利用でしたら1000円ポッキリ!」
と始めたらどうでしょう?



承役地は地役権に基づいて、第三者に対しレンガ道の撤去を請求できます。


あれ、これも所有権に基づいてでいいような。

3、物権的妨害予防請求権

例えば1、2、を繰り返すようなアホ相手に、以降すんなと請求できます。



地役権のせいで分かりづらくなりました。
決してワタクシの説明が下手だから分かりづらい訳ではありませんが、

そんな感じで物権を持つ者は、物権を犯す者に対して色々請求出来るのです。
あとはまぁこんな説明無視して、言葉のニュアンスでなんとなく理解しとけばノープロブレムです。



物権とは?しつこく繰り返します排他的支配権です。
”排他的”の中身の一つが、これら請求権ですね。

ちなみにこれら請求権は民法の条文では特に規定されていませんので、言葉のニュアンスで覚えるってのは強ち間違いではありませんよ。

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抵当権に基づく妨害排除請求

ハイこの見出し、ニュアンスを捉えればいいんです。

所有権は本権です。ので使用収益処分できますし、それを妨害するやつは、「め!」できます。


今回は抵当権に基づいています。抵当権者は使用収益処分はできません。
しかし抵当権は約定担保物権です。


担保の価値を損なうような奴には、「め!」できるのです。




では具体的に。かつ今までの学習を踏まえて。かつエレガントに。

建物に抵当権を設定しました。抵当権設定者と所有権者を同一とします。
その建物、建築者の趣味で入り口が守礼門だったのです。


入り口は抵当権の付合物なので、抵当権の範囲に含まれますね。


しかし所有者が飽きたので、守礼門を撤去しようとしました。


抵当権の担保価値が守礼門の価値も含んでいたならば、
抵当権者撤去の中止を請求できます。


所有物に対しての行為なので、所有権者がする処分行為の方が一見強そうなんですが、
担保価値を損なうような行為に対しては、抵当権者は所有権者に対抗して請求できるのです。



当然第三者にも対抗できます。

通りすがりの沖縄マニアが、守礼門を端っこをちょっと削って持ち帰ったら、
抵当権者は抵当権に基づいて、削るの止めろと請求できます。
第三者が善意無過失でも請求できます。

器物損壊に対して善意無過失とは何でしょうか?いやニュアンスよニュアンス


もうちょっと進めましょう。
例えば守礼門に「ここを通りたくば俺を倒してから通れ!」と言う危ないオッサンが現れました。

所有権者は返還請求権を行使できますし、妨害排除請求権も行使できます。


じゃあ抵当権者は?


この危ないオッサンが担保価値を下げるのであれば、どちらも行使できます。


ここでポイント。今回は所有権者を抵当権設定者としました。
なので建物の所有者が借金して抵当設定し、
借金を申し込まれた抵当権者が妨害排除請求出来るという流れになっています。

なので債権者代位権の行使として妨害排除請求出来るように見える、かもしれません。

しかし抵当権の設定は、債務者の所有物とは限りません。
たとえば債務者の親父さん、充分可能性はありますし、
実際の試験は、こういった日常の変化球のようないやらしい問いかけが多々あります。


危ないオッサンのせいで債権の回収が困難になることと、
危ないオッサンのせいで担保価値が下がること、結果は似ていますが、根拠は大きく違います。
そもそも債権と物権という大きな違いがありますので、混同、というかひっかからないように注意しましょう。

損害賠償請求

さて、建物を所有する抵当権設定者が、守礼門を故意に壊してしまいました。
抵当権者は、所有者に損害賠償を請求出来るのでしょうか?


これは債権を担保する額によります。

1000万の債権の担保として、抵当権を設定しました。
建物の価値は2000万でした。


レプリカ守礼門の価値が1000万までなら、抵当権者に損害が発生していません。
何故なら抵当権を実行すれば、債権は回収出来るからね。
なので損害賠償は請求できません。

債権の担保額を超えれば、抵当権に基づく損害賠償請求権が発生します。

が、そもそも損害賠償についての注意事項条文がありました。
以前も書いた条文で、今回を締めくくりたいと思います。

第709条 不法行為による損害賠償

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

逆に言えば、故意又は過失じゃないと、損害賠償は請求できないのです。


なので守礼門を壊したのが…
故意、又は過失じゃなく入り口壊すってどんな状態?まぁニュアンスよニュアンス。

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