物権とは何?
物を排他的に支配する権利です。
日常感覚からするとそれが所有権じゃないの?と感じますが、
民法では、別の形の物権もあるよ、と規定しています。
今回は特に土地に対する、所有権以外の物権を見ていきましょう。
土地に対する所有権以外の物権とは、用益権です。用益権も排他的に支配する権利です。
用益権の中には地上権・永小作権・地役権がありますがひとまず置いとくとして、
これら用益権には所有権と違った性質があります。
所有権は消滅時効にかかりませんでした。
しかし、用益権は取得時効、消滅時効にかかります。
実はこれら用益権の3種類は、登記が必要となります。
以下は個人的に不思議に思った事柄です。
登記の目的とは公示することでした。
周りに「ボクが権利を持っているよー」とアピールしている排他的支配権が、
なんで消滅時効にかかるんでしょうか?
なんでと言われても民法で規定されているから、としか答えられないのですが、
時効という枠の中で考えれば、用益権は債権に似た性格を持っています。
しかし用益権の本質は物権です。そこんとこごっちゃにすると、
ボクみたいに用益権が全然頭に入ってこねー!となりますので注意しましょう。
地上権
地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
せっかく条文が竹木と指定していますので、タケノコで例えましょう。
Aさんの家の敷地でもBさんが地上権を設定していれば、
「そこはAの敷地だけどタケノコはBのものだから!」と主張できますし、
タケノコのシーズンじゃなくても「タケノコ育てる為に竹生やしてるから!」と主張できます。
条文の後半部分ですね、使用する権利を有している、かつ排他的な支配権なので、
所有者の土地利用を認めず、設定者の土地利用を認める権利、が地上権になります。
所有者が損をしているように見えますね。
所有者が損をしないで土地の利用を認める方法に、土地に対して賃借権を設定する事が考えられます。
では具体的に、地上権と賃借権は、どこに違いがあるのでしょう。
要素って何?成立させるために必要なことです。
賃借権を登記するために、賃料は絶対的登記事項となります。
一方地上権は、賃料は登記事項ではありません。
不動産登記法はまだ先なので、ここでは必要最低限にします。
登記の原則は義務者と権利者の共同申請です。
義務とは協力する義務を指します。
処分が自由ということは、売却も譲渡も自由です。
地上権に抵当権設定もできます。
改めて見れば見るほど不思議な権利です。地主が一方的に不利益を被るようで、
民法の目的である利益衡量にそぐわないように思われます。
次の条文を見てみましょう。
1、 地上権者は、その権利が消滅した時に、土地を原状に復してその工作物及び竹木を収去することができる。ただし、土地の所有者が時価相当額を提供してこれを買い取る旨を通知したときは、地上権者は、正当な理由がなければ、これを拒むことができない。
2、 前項の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
1項は地上権を失った時にタケノコを持って帰る権利を認めています。
注目は2項、異なる慣習あるときはその慣習に従う。の部分です。
古い時代の権利なんでしょう、まだ一部に残っているから条文を残しておくような。
1、 地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。
例えば地下鉄やモノレールを設置する場合に適用のある条文です。
今の地上権は、主にこっちのためにあるんじゃないでしょうか。
永小作権
永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。
こちらも物権です。地主は登記義務があり、処分は永小作権者の自由です。
地上権と違うのは条文にありますように、小作料が絶対的登記事項になります。
1、 永小作権の存続期間は、20年以上50年以下とする。設定行為で50年より長い期間を定めたときであっても、その期間は、50年とする。
2、 永小作権の設定は、更新することができる。ただし、その存続期間は、更新の時から50年を超えることができない。
3、 設定行為で永小作権の存続期間を定めなかったときは、その期間は、別段の慣習がある場合を除き、30年とする。
最低20年最高50年、決めなかったら30年です。
1代限り、をイメージして作られた条文でしょうね。
以上が土地の物権の中で、地上権・永小作権の説明でした。
…すみません、自分の中で用益権が消化出来てないもんで、この程度の文章で3時間かかっています。
後日加筆修正する、ほど重要な論点でもないので未来は分かりませんが、
次回はやっぱり理解が足りていない地役権を、私の復習の意味も含めて学習していきましょう。
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