民法 共有 共有者複数

学習

お父さんお父さん 鬼ババって誰?

落ち着くんだ坊や、それは聞いてはいけないよ

お父さんお父さん あしゅら男爵が所有権を取得したらそれは共有なの?

……息子よじゃあお前らんま1/2も共有ってそんな子に育てた覚えはない

という訳で、今回は共有者が複数で出来ることを学んでいきましょう。
早速前回も出した条文です。

第252条 共有物の管理

共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。(以下略)



略した部分が前回お話した保存行為であり、共有者が共有物に対して単独で行える行為です。

で、その前半部分である管理行為が、持分の価格に従いその過半数で決する、
と規定された通り、単独では行えない、かもしれない行為となります。

親・本人・子の3人の共有物であるならば、選挙のように一人に一つの投票権があるんじゃありません。
持分をお金に勘定し直して、その過半数で管理行為の可決をとる訳です。

では管理行為とは?共有物を利用・改良する行為です。
その典型が、共有物の利用者を決めること。
共有物の賃貸契約を解除すること。

当人の持分のみの処分、利用でしたら単独で行えました。
土地なら駐車場として貸す なんてケースですね。

共有物が戸建て住宅ならどうでしょう?
賃貸に出す場合は、持分価格の過半数の可決が必要になるのです。

契約の解除の場合も注目です。
実は契約を解除する場合の取り決めが民法で規定されています。

第544条 解除権の不可分性

1、当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる。

共有物における契約の解除の場合は、544条の例外となります。
共有者全員ではなく、過半数が賛成すれば契約は解除できます。

管理ついでにもう一つ条文を。

第253条 共有物に関する負担

1、 各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。

2、 共有者が1年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる。



過半数が賃貸に出すことに賛成しました。賃借人から「ちょっと大家さん、水が出ないよ!」と言われれば、
賃貸することに反対だった人物も、水道の修繕費を負担しなければいけません。

もっと簡単なのが固定資産税です。持分に応じて負担しなければなりません。

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変更行為

第251条 共有物の変更

各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。



今度は共有者全員の同意がなければ出来ない行為となります。
ではどういった行為が変更行為となるのか。

まず処分です。共有物全体の処分行為、例えば売却するためには、共有者全員の同意が必要となります。

次に共有物が建物であるならば、増築・改築をすること。

これらが変更行為の典型例となります。


さて保存行為・管理行為・変更行為と見てきましたがここで問題です。

Q、戸建てを共有していたが、建物の基礎が古くなっていたため基礎を修繕し補強した。これは保存か、管理か、変更か?


ハイ、実はワタクシも答えを調べていません
調べれば分かるとは思いますが、こういった例を上げるとキリがないのです。

なのでこの3つの行為、典型だけ覚えれば充分かと思います。

答えを調べないままカンで答えますと、修繕は保存行為で、補強は改良なので管理行為と思われます、変更には当たらないかと。違ってたらゴメンね。

共有物の分割

分割してたものを改めて分割ってどういうことよ!?なお方に説明しますと、
いままでなぁなぁ持っていた共有物の中にキチンと線を引くことを指します。


相続の登記が近いですが、さらに踏み込めば一筆の土地を一人のものにしちゃおう
まで行って共有物の分割といえます。

ワタクシのところの例のように、15364分のナンチャラ、でなくて、
地番100-10は妻に、100-11は長男に、というような分け方です。

ちなみに地番は住所とは違いますので、登記簿請求する時は地番で請求するように気を付けましょう。
法務局に聞くか法務局に行って調べるか、固定資産税の納税通知書を見れば分かります。




もうちょっと分かりやすい所で説明しますと、
例えば親、本人、子で戸建てを共有し、賃貸に出していました。
賃料は10万円です。当然3等分できません。

時と場合によって、5万・3万・2万のような分け方をしていました。
不満を感じた子が、その辺はっきりさせようぜ、と主張しました。

第256条 共有物の分割請求

1、 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。

2、 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から5年を超えることができない


256条を根拠として、子はいつでも主張し請求できます。
ただし5年間はなぁなぁでいようぜ、という契約も可能です。

この請求に全員が合意したら、以下3つの分割方法があります。

1、現物分割

目的物を共有者の頭数で割る方法です。
賃料10万円なら、33,333円を取り分として、あと1円は募金でもしましょう。

2、代金分割

目的物を売却して、その代金を共有者の頭数で割る方法です。
例えば共有建物が一千万で売れたなら、3,333,333円を取り分として、あと1円はお賽銭箱にでも入れましょう。

3、価格賠償

共有物が一人の物になる代わりに、その対価を他の共有者へ支払う方法です。
共有建物の価値が一千万なら、子が親と鬼ババに3,333,333円ずつ払って自分の所有物にしてしまうのです。
足りない1円は投げ銭でもどうにでもして。


合意が整わなかった場合の条文も存在します。

第258条 裁判による共有物の分割

1、 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。

2、 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。



条文の通り、裁判所に判断を委ねる事が可能です。

余談ですが、こんな条文をわざわざ作ったというのが面白いですね。
それだけ共有の分割に対する揉め事が多い事の裏返しなんでしょう。

と同時に、やはり一物一権主義が原則なんだと思われます。

共有なんて曖昧な状態は民法君がこらしめるでござる、ミンミン。みたいな?

そういえばハットリくんってアニメでしか見たことないんですけど内容どんなでしょう?
不二子Aはアニメと原作が乖離していること多々ありますもんね。

そんなこんなで共有の項目はお終い、一物一権主義の変則でございました。

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