お父さんお父さん共有が見えないの?
落ち着くんだ坊や 共有は怖くないよ
お父さんお父さん物権は一物一権主義じゃなかったの?
……いやほらだって、南葛と東邦は同時優勝したジャン。アレと同じだよアレと。
という感じで共有です。
共有とは読んで字のごとく、1つのものを数人が共同で所有することです。
1つの物には1つの本権しか発生しない、のが物権の原則でした。
表面上原則に合わないことをしているのです。
しかし原則に忠実だけではあまりに融通が効かないので、
ちょっとした理屈をつけて、原則に沿う形をとっています。
以前ごく個人的な相続の例を出しました。
ワタクシの祖父が相続税のために、土地を15384だかに割って、
妻に5231だか長男に3946だか振り分けた、というお話。
これが共有です。祖父の妻は土地の15384分の5231の権利を得て、
長男は土地の15384分の3946の権利を得ました。
実際は同じ土地です。同じ土地を相続人の分だけ共有している状態です。
妻の15384分の5231に対して権利を行使できる、
長男は15384分の3946に対して妻とは別に権利を行使できる、
15384分の5231は、新たな1つとなり、妻は所有権を得たと考えます。
これで一物一権主義の原則は守られました。
いいかげん面倒なので、共有者を妻と長男に限定、さらに相続したことも一旦忘れて民法を適用させましょう。
各共有者の持分は、相等しいものと推定する
持ち分をはっきりと決めていなかった場合や、共有者間で協議しても合意がなかった場合は、それぞれが等しく持つ、と推定されます。
なので上記ケースで、相続でないなにかしらの物権変動で、土地が妻と長男の共有物になったと仮定したら、2分の1が妻、2分の1が長男の持ち分となります。
共有者の権利
共有者が共有物に対してどのような権利を持っているか、も条文で規定されています。
まずは条文を見てみましょう。
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
先程の土地の例であげれば、長男は自分の持分の範囲でキャッチボールできます。
ボールがちょっとでも外に出ようもんなら、鬼ババ側に
「ちょっとあんた、そこアタシの土地だよ」と言われても仕方がありません。
が、ここはお互い様です。例えば鬼ババ側が水を撒いてちょっとでもはみ出たら、
「あれー?母ちゃんそこ俺の土地なんだけどー?」と言い返せます。
ただし実際はイヤミが言えるぐらいです。
まずは持分に応じた当事者の主張を聞いてから、という判断ですな。
そして条文で規定されているのは「使用」なので、使用して「収益」をあげることも可能です。自分の持分だけ駐車場として貸すなど。
共有者が単独で出来ること
次に共有者は、自分の持分について自由に処分できます。
ここで覚えておきましょう。処分の言葉に含まれる代表的な行為は「売却」ですが、
「担保設定」も処分行為の代表例です。
なので鬼ババは、長男の同意得ることなく売却できますし、長男の同意を得ることなく、担保に入れて借金申し込むことも可能です。
処分行為とは、財産の性質を変更する、又は財産権の変動を直接生じさせる行為を指します。
んが、他の行為として保存行為、管理行為、変更行為がありますが何をどう分類するかはケースバイケースのよう。まずは代表例を押さえておきましょう。
他に単独で出来ると規定した条文がこちら
共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
ここで注目は保存行為です。保存行為は共有者が単独で出来ます。
大事なのが、各自の持分に対して出来る、んじゃなく共有物全部に対して単独で保存行為は可能ということ。
保存行為とは、共有物の現状を維持する行為を指します。
具体的には、共有物を修繕すること。不法占拠者を追い出すこと。
もひとつ押さえておきましょう、不法な登記の抹消請求も単独で可能です。
登記の話のついで。共有者は自分の持分について、共有者または第三者に対して、登記を請求できます。
不動産登記法に関わるので今は簡単に紹介。
不動産登記の申請は原則共同申請です。 そして登記は強制ではありません、任意です。ですが登記しないと第三者へ権利の主張が出来ません。
なので共有者は登記に協力してくれと請求出来る訳です。
不法占拠者は単独で追い出せますが、平穏、公然とした占有者が居た場合はどうでしょうか。
例えば占有者に対して長男が承認を求め、占有者が同意しました。この場合の時効の更新は長男の持分だけです。共有物全体に効果は及びません。
時効を阻止したければ連名で承認を求めるか、鬼ババ勝手にしろということですね。
以上が共有物に対して単独で出来ることになります。
次は共有者が複数でないと出来ないこと、を中心に学習していきましょう。
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