民法 占有権 占有回収の訴え

学習
第200条 占有回収の訴え

1,、占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。

2、 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。



記念すべき200条です。最初を思い起こせば遠くまで来たものです。
200ですよ200?千里の道も一歩からであり、千里とすればたった5分の1であり、
そもそも全条文網羅しようなんてしちゃいませんので何の意味もないカウントであります。

そこで占有回収です。 まず占有の定義を思い出しましょう。
占有とは所持している事実状態を指します。

所有権や地上権など、排他的に支配できる本権とはまったく別物。
繰り返します。本権とは全く別物です。


で、所持が奪われたら回収の訴えができますよ~と言っているんですね。

例によって例のごとくポテチです。
Aちゃんのポテチを半分もらったBくん、ポテチの袋を懐に抱えてバリボリ食べていましたが、
いきなり来たC夫にポテチをとられちゃいました。

ここで出来るのが200条です。すなわち返還請求&損害賠償
BくんはC夫に対して所有権がなくても、占有権に基づいて損害賠償を請求できるんですね。


別の例でも同じ。盗っ人Aがその盗んだ宝石を、泥棒Bに強奪されました。

Aは窃盗犯ではありますが、占有回収200条を元に返還と損害賠償が認められます


ただし200条をよーく読みますと、占有を奪われた時と規定されています。

占有者の意思に基づかないまま占有が動いた時、
それこそ占有者が知らない内に盗まれただの、脅迫されて占有物を渡しただのしない限り、
占有回収の訴えはできません。

反対に占有者の意思ある例で言えば、占有者が騙されて引き渡しただの、
占有者がどっかに忘れてきただのした場合は、占有回収の訴えはできません。

これらは奪われたとは言えないからです。

例えて言うなら、ルパンは不二子に占有回収の訴えはできないんですねぇ。
そんなルパンはカッコ悪けどな。

この例えはアニメ版の方が合っているね。

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占有保持・占有保全

奪われた、なんて荒っぽい手段をとられた場合じゃないと対抗できないの?

手段があります。取れる手段がこちらの条文です。

第198条 占有保持の訴え

占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。


1000里の道も3歩進んで2歩下がりましたが、そんな198条に規定されている条文がこれ。


ポテチの所持を妨害されたら、妨害の停止と損害賠償を請求できます。
繰り返しますが本権とは全く関係ありません。
占有権者が請求できる権利であります。


あれ?こんな規定があるなら、200条の占有回収なんていらないんじゃ?と思われた方。
実際私も思いましたので、200条との違いを考えましょう。

占有回収の訴えは占有を奪われてから1年
占有保持の訴えは、占有が妨害されている間はずっと

改めて読んでも、198条を根拠にした訴えの方が有利ですね。
何が違うの?それは物を直に回収できることと、妨害を排除できる事の違いです。


占有改定の例で出しました、ポテチ一箱を例に出しましょう。

売り主Bはポテチ一箱を買い主Aの予約ために所持していました。
そこへCが現れ、「Aより高いカネ払うからいいだろう?」と言ってポテチを勝手に持ち出しました。

売り主Bは占有回収の訴えを提起できます。

売り主Bはポテチ一箱を買い主Aの予約ために所持していました。
そこへCが現れ、「俺に売って欲しい」と思いつき、
ポテチ1箱を厚切りポテチの山の中に隠してしまいました。

売り主Bは占有保持の訴えを提起できます。が、ポテチは自分で探しましょう。

例え話のスケールがみみっちいので、そこは各自でスケールを大きく補完してくださいお願い。


第199条 占有保全の訴え

占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。


今度は予防です。

例えばもう買い主の付いたポテチであり、
売り主が保管しているポテチのダンボールが、隣の酒屋のビールケースで潰れそうな時、
隣の酒屋に対して占有保全の訴えができます。

あくまで予防なんで、結果が予見できるかが保全の訴えのポイントです。
例えば不二子に対して占有保全の訴えは視聴者なら出来そうですが、
ルパン一味には不可能でしょう。何よりカッコ悪いし。


次でこの分かりづらい占有権の制度も最後になります。
何度も何度も繰り返して申し訳ないです。占有権と本権は別です。

例えば所有権者Aがその所有物を預けるつもりでBに渡しました。
当然Bはその所有物に占有権を持ちます。

Aは預けたつもりだったので、Bに無断で所有物を回収しました。

ここでBが占有回収の訴えを本権者Aに対して起こしたらどうなるでしょう?

Aは所有権では対抗できません。 Bへの返還が認められることになります。


じゃあBに占有を奪われたAの対抗手段はどうすれば?
所有権に基づいて反訴する、もしくは新たに所有権に基づく訴訟を起こすのです。



あ、やばい、民事訴訟法のお話は予定外だ。
なのでここで退散。次の学習に移ります。

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