民法 物権 一物一権主義

学習

今までの民法は私にとって宅建士の合格の延長で、復習のつもりでまとめてきましたが、

ここからは最終目的地である司法書士試験に向けた学習となる、 つもりです多分。

なんでもし目標が宅建士受験である読者の方は、ここからは不要になる なんてことはないよ多分。

だからサヨナラなんて言わせないよ。なんたって民法の本質は利益衡量
というよりもおばあちゃんの知恵だからね。


では物権です。民法は一物一権主義をとっている、とかなーり最初に書きました。

文字通り、一つのものには一つの物権のみ成立する、というお話です、

では物権とは?物を排他的に支配する権利のことです。

併せますと、一つの物を支配できるのは一人だけ、ということですね。



チョ待てよ、例えば免許証は誰のものかは分かる。

高級腕時計も探せば誰のものか分かる、だろうよ。

けど買ったポテチが誰が支配しているか、買った人間か食べた人間じゃないとわかんないジャン。

そこにあるメモ帳だってそう。買った人間か使った人間、どっちが一物一権主義の主体者なのよ。


これも過去に答えていますね。覚えていますでしょうか。民法192条の規定です

第192条
 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。



この条文が規定しますのは日常生活を真面目に、というより普通に生きている人間にとって、取引による動産の占有=所有権取得 な訳ですね。

なので誰が所有の主体者か、といえば取引行為によって買った人間です。
それを契約(口約束でも)によって使用させてもらっている、んですね。


占有を法律上正当なものとさせる権利を本権といいます。
この場合は所有権ですが、そのうち賃借権や地上権といった権利も学んでいきます。
これらも占有を正当とする権利となります。

チョ待てよ、俺は今借家に住んでいるが、家を占有しているのは俺だぜ、この借家は俺のモンなのかヨ。

はいこれが違うのも、学習したからとかしてないとかでなく、日常生活の延長で理解してもらえるかと思います。

大家と、店子さんもしくは借り主の住人がいる。すなわち所有者と占有者が一物の中に共存している状態であります。


そりゃ不動産なんだからそういうもんだろ、
日常生活ではそういう理解で構わないのですが、せっかくこういうブログですので、民法から解釈してみましょう。

民法86条 不動産及び動産
1 土地及びその定着物は、不動産とする。
2 不動産以外の物は、すべて動産とする。



なんとびっくり。実は民法で規定しているのは、不動産が先で動産が後なのです。

では次の条文です。

民法177条 不動産に関する物権の変動の対抗要件
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。



相変わらずの分かりづらい文章ですが、不動産は登記していないと排他的な支配権を周りの人間に主張できないよ。ということです。

なので不動産は、登記している者が所有者であり、占有者は所有を主張できません。

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ちょっと回り道 賃借権

本権にてあえて出したしたように、世の中には賃借権なるものが存在します。

民法605条 不動産賃貸借の対抗力
不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる



賃借権も登記が可能です。賃借権を登記した場合、例えば所有者が借家を売却したとしましょう。 借家の買受人に対しても賃借権を生ずる、と規定しています。

んで賃借権も本権である。と説明しました。
賃借権は所有者にはなりませんが、その不動産の占有を正当に主張できるのですね。

あとは条文の合せ技です。賃借人は賃借権を登記すれば、借家の買受人に対しても、占有を正当に主張出来るのです。 
借家の所有権者は、占有者に一方的に出ていけ、とは言えなくなります。


実は借地借家法の絡みもあります。
大体一般の賃借人が賃借権をいちいち登記なんてしません

登記してない権利は主張できないんですが、
賃借人は登記無く保護されます。それが借地借家法
具体的には6ヶ月前に通知た上で正当事由がないと出ていけ、と言えないんですが

ま、この辺は主旨と外れるので宅建士試験受ける人は頑張ってください。

主旨外れるついでに一つ じゃあ登記していない建物は誰のものなの?

簡単に調べた結果、建物の建築費用を払った人間という回答や、
固定資産税を払っている人間のもの、
占有者でも不法に占拠する者に対しては対抗できる、

など色々な答えが出てきました。 過去の判例からの判断と思われますが、
専門家でも回答が分かれる通り、解釈があやふやになっている部分があります。
だから所有した不動産は登記しましょうね。

公示

街を歩いていていれば建物はいくらでも目にします。

あまり意識しないだけですが、「土地」もいくらでも目にします(当たり前だが)

ただし、その土地、建物が誰のものかは、街を歩いているだけでは分かりません。

例えば自分の家の隣の土地が空いていました。「ここに駐車場を作りたいな~」
と思った時、誰のものか分からないのでは、交渉しあるいは契約して駐車場を所有する術がありません。

不法占拠?ここまで言ってるのにそんなことする人は、まあ頑張って最後までケツ拭いてください。


不動産の登記とは、登記簿に登録し、不動産の権利を公示することでもあります。
公示とは、誰でも見られる事状態にすることを言います。

不動産に興味がないと分かりづらいのですが、実はアナタの隣の家もその隣も、
果ては仕事先の入ってるビルに至るまで、
真の所有者は誰なのかは簡単に調べることができます。

おかげ様で隣の空き地の所有者を調べ、交渉して契約して、
晴れて所有権者となれる訳です。


ただ、もし隣の空き地が差し押さえられていたらどうしましょう?

差し押さえも本来は不動産に登記されるものです。
登記簿を見て差し押さえの登記が入った不動産を買うのは、そりゃアナタの自由です。
何故なら差し押さえの登記が入るとは、競売にかかるのを意味するからですがその話はまた今度。

では登記簿に差し押さえの登記が載っていないのに、
「これは俺が差し押さえた」と主張する人間がいたら?

177条の登記してない権利は第三者に主張できない、という規定があるのですが、
裏を返せば登記されていない権利は無視して取引してもいい、という規定でもあるのです。

これを公示の原則といいます。不動産取引では公示の原則が採用されます。

物権としての登記、もう少し続けましょう。

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