債権てなぁに?
ワタクシのよく読む時代小説には、債権鬼なる取り立て屋がやってきて、
「おとっつぁん!」なんて離れ離れになる親子、ああ悲劇の始まり始まり、、
んじゃ債権て人を拐かせる権利なの? んなわけはないです。…ないはずであり、
債権をあらためて定義しますと、
特定の他人に対して、一定の行為をすることを請求出来る権利を言います。
そう、債権とは人に対する権利、なのであります。
物権とは、物に対する支配的な権利 でありました。
民法は 物権は175条から398条、債権は399条から724条です。
物権と債権でわざわざ分けています。学ぶ方も同じく、言葉の意味、対比を抑えておきましょう。
その前に拐かすという行為の前に、相手を騙す、という行為があった可能性大であり、
騙したのであれば契約違反になる訳ですが、これは後ほど。
債権は人に対する権利ですから、債権を行使する権利ある人、
言葉を変えれば一定の行為を請求出来る人を債権者と呼びます。
債権と債務
対して債権に対応する義務を負う事を債務、その人を債務者と呼びます。
債権者と債務者が現れる典型が、売買契約です。条文を見てみましょう。

1、何人も法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
2、契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。
互いの意思表示が合致すれば、売買契約は成立するんです。
そして契約は自由なので、何をどう売買するかも自由なのです。これを契約自由の原則と呼びます。
実はこの521条、民法改正で契約自由の原則を改めて条文化したものです。
令和2年4月から施行される事を考えると4月以降の方が、
マスク1枚1万円で売る根拠が現れそうなもんですが、マスク転売は罰則つくようになります。

1、 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2、契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない
口約束でも書面でも構いません。2つ以上の意思表示の合致で成立する法律行為、これが契約です。
522条も民法改正で改めて条文化されました。
んで売買契約は、契約の一典型例です。
売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
ちょっと戻りますが出てきましたね、522条に「意思表示」。過去に色々学びました。
強迫だの通謀虚偽表示だの錯誤だの。 そして取り消し出来る意思表示だの無効となる意思表示だの。
それを互いの意思表示が合致すれば契約は成立する。
にあてはめれば、
強迫あれば「契約は取り消しできる」や、
要素の錯誤であれば「契約は無効である」と主張できるんですね。
この項の最初に述べた、騙した騙された契約は契約違反である、
んじゃなくて、騙された契約は取り消しできる、こちらの方がより正確な言い回しです。
債権者と債務者の関係
さて売買契約が成立した場合の続きを見てみましょう。
例えばAさんがラジコンを買った!!Bさんはラジコンを売った!!
意思表示が合致し、ここに見事(売買)契約が成立しました!!!
じゃあAさんの立場は?
当然ですが、代金を払わなければいけないので、債務者であります。
逆にBさんは代金を請求する立場なので、債権者であります。
ただしこの見方は、日本における売買の習慣で見た場合であり、見方を変えれば、
Aさんはラジコンそのものを請求できる 債権者であります。
Bさんはラジコンを渡さなければいけない 債務者であります。
お互いが債権者であり、お互いに請求権があります。
お互いに履行があれば(履行とは、言ったことを実際に行うこと)
契約は無事終了し、AさんBさんは、当事者でも第三者でもない、赤の他人に元通りです。
では一方の履行が無かったら?
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
Aさんが「金は払わねぇ」となったら、Bさんは損害賠償を請求できます。
1、債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない。
2、契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、第四百十五条の規定によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げな
い。
Bさんが「ラジコン失くしちゃった」となったら、Aさんは損害賠償を請求できます。
「契約」という「約束」を守らなかったら損害賠償という「罰」がある、
非常にまわりくどかったですが、これもやはり人の営みとして当たり前のことであります。
が、注意点が2つ。債権の世界は契約自由の原則。
AさんBさん間の二人の自由(場合によっては3人4人~)に国は口を出しません。
AさんBさん間がルールを作り、その中でやりとりすべきと国は考えます。
これを私的自治の原則といいます。なので罰は損害賠償なのです。
刑事罰ではありません。
いや詐欺や脅迫には刑法の適用がありますが、
そこまで手を伸ばすのは現段階ではご勘弁を。
もう一つ、
債権は登記できません。私的な契約を一々公示する必要がない、のもそうですが、
そんなことやってたら法務局はパンクするからでしょう。
さて、債権のお話第一回はこの辺で終了します。
細かいことを言い出すと、本当は期限の利益なんて聞き慣れないもんがあって、
履行はしました!(ラジコン渡しました!)でも遅れました!
それならあ期限の利益を損したから損害賠償だ!! なーんて話も出てくるのですがそれは後ほど。
じゃあね、バイバイ。再見!
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