民法 転得者 詐害行為取消権

民法

転得者とは
他の人が取得したものを、さらに取得した人のことを言います。


今回は民法学習の少し回り道した回になります。

過去にのび太、ジャイアン、スネ夫、出来杉くんで説明しましたが、

固有名詞を使うほうがわかりづらいので、今度はAさんBさんというように名付けます。


Aさんが第一の持ち主、Bさんが何かやった、そしてBさんがCさんに売りつけた場合のおさらい。

A→→B→→C  この場合 Cさんが善意無過失であれば、Cさんに所有権が移りました。
A←(詐欺)

A→→B→→C  この場合 Cさんの善意無過失でも、Aさんは取り戻すことができました。
A←(強迫)

さて転得者が現れた場合のお話です。

A→→B→→C→→D  
Cさんが善意無過失でDさんに売りつけました。所有権は誰?
A←(詐欺)       答えはDさんです。だってCさんの物になった訳ですから。


もっと言えば、DさんのBさんの行為に対する善意悪意、無過失有過失は関係ありません。

A→→B→→C→→D  所有権は?答えは(取り消し行為をした場合の)Aさんです
A←(強迫)    Cさんのものになってないのに、Dさんと取引できる訳がありません。


最初に取り上げた一物一権主義の流れです。

前の人に権利があれば、引き継いだ人(承継人と言います)も権利があります。

前の人に権利がなければ、承継人にも権利はありません。


無からは無しか生まれない、これも民法の原則であり、

権利関係がごっちゃになったならば、この原則に立ち返れば解きほぐすこと容易になるでしょう。


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通謀虚偽

もうちょっと踏み込みます

A→→B→→C 
AとBが通謀して虚偽表示。この場合Cさんは悪意だと負け、善意だと勝ち
(通謀虚偽)

A→→B→→C→→D 
では今度も最終的にDさんに売りつけました。AB間で通謀虚偽がありました。

今回はCも悪意、Dさんは善意だとしましょう。誰のものになるでしょう?

 答えはDさんです。Cに権利は移動していませんが、Dさんを保護する必要があると考えるのです。


A→→B→→C→→D もういっちょ、今度も最終的にDさんに売りつけたとします。
(通謀虚偽)     今回はCが善意 Dが悪意だったとします 誰のものになるでしょう?

答えはDさんです。
 あれ、通謀虚偽を知っているDさんの物になるなんておかしくない?

実は通謀虚偽表示の間に善意の者を挟んだ転得者は、善意悪意関係なく所有者となれるのです。


なんでこうなったか? ただでさえややこしい民法を分かりやすくしよう。という趣旨だそうです。
なんだかね、なんだかね。言いたいことは色々あるけど分かりやすくするのはいいことだよね


詐害行為取消権


転得者が関わることなので、ここで少し説明します。



詐害行為取消権
とは 詐害行為取消権とは、債務者が無資力(財産より債務が超過している)であるにも

関わらず、財産を処分する行為をしたときに、債権者がその行為の効果を取り消すことができる権利

これちょっとワタクシも頭に入れるのに苦労しています。

詐害
と言う言葉が、取引上の詐欺とごっちゃになっちゃうんですな。


契約上の詐欺被害にあったら取り消しできる。これは何度も挙げた論点であります。

今回は貸した人(債権者)と借りた人(債務者)のお話で、一般的な取引上の詐欺とは全く違う話です。


たとえば債務者が借金あるの分かっているのに、他の人へ金銭の贈与した場合など、

債権者はその行為を取り消すことができる権利
をいいます。

でこの場合の転得者ですが、贈与を受けたもの(受益者)から転得した場合が規定されています。

当該転得者が、その転得の当時、債務者がした行為について債権者を害することを知っていたとき

これはその行為の取り消し対象になります。


更に、転得者から転得者へ渡ったときの規定。

当該転得者及びその前に転得した全ての転得者
が、それぞれの転得の当時、債務者がした行為について

債権者を害することを知っていたとき

この場合はその行為の取り消し対象になります。

要は詐害行為に悪意だとダメだゾ、みんな悪意だと許さないヨというお話です。




なんだかね、なんだかね。すっごいザル法に見えるのは気のせい日野製ミズノ製?

民法改正でちょっと変わります。

民法424条 詐害行為取消請求
1.債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
2.前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない。
3.債権者は、その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求をすることができる。
4.債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。

3,4項 は民法改正で新設されました。上で述べた債務者が債権者害する時、の他、

裁判所に請求しないといけない、ってのがミソですかね。

うーん、見れば見るほどザル法じゃね? もっと学んだ人の意見は違うのかしら。

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