1 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
2 前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。
「9番藪に代わりまして、八木、9番八木。」
はたして八木は藪の意思表示の効力を生じるのでしょうか!?生じません。
スコット・ボラスが鳥谷のために年俸ゴネています。
はたしてボラスは鳥谷の意思表示の効力を生じるのでしょうか!?生じます。
馬鹿なことを聞きなさんなと言われても、じゃあ違いは?の違いを説明できますか?
代打と代理人の違い?いやそうなんだけど、条文を見て確認してみましょう。
条文中の「権限内において」
これが本人が代理人に代理権を与えたよ、というお話。
鳥谷がボラスに代理権を与えたから、ボラスは鳥谷の意思表示の効力を生じるのです。
次に「本人のためにすることを示して」
これはボラスが阪神球団に、鳥谷からの委任状を示すこと。委任状に限らなくともいいんですが、
「自分は本人の代理人である」ことを示す、この行為を顕名と言います。
最後に「意思表示」
ボラスが年俸上げてくれ、と言って阪神がそれに応じたら、
要は意思表示の合致であり契約です。契約とは法律行為です。
ボラスの法律行為は鳥谷に効力を生じることになります。
ま合致しなかったからロッテに移籍したんですがそれは置いとくとして、
代理権+顕名+法律行為 が代理の要件です。
んで散々途中で挟んでいますが。効果は鳥谷(本人)に直接その効力を生ずる。
阪神が上げるのは鳥谷の年俸であり、ボラスの年俸ではありません。
更には条文に規定されている通り、
本人と代理人の立場をキチリと分けて考えるのも、代理を学ぶ上で大切な要素となっております。
そしてここからが本番。代理の3要件を満たさなかった場合、
要件に欠陥がある(法律ではよく瑕疵があると表現されます)場合の代理行為はどうなるのでしょう。
顕名が無かったら?
まずは顕名が無かった場合です。
代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第1項の規定を用する。
ワタクシの正直な感想を言ってもよろしいでしょうか?
記念すべき第100条の条文の割にショボいよね
スコット・ボラスが委任状を示さないで阪神と交渉したならば、
それはスコット・ボラスの為の交渉です、と条文で規定しています。
「みなす」です。これから法を学んでいくと、よく推定するという表現が使われますが、みなすは推定するより上と思ってください。
したんだよな?そうだろう?言い訳すんな!なのです。昔の生活指導の教師のような俺ルールです。
それぐらい顕名しなかった代理行為は重いのです。
が、条文の後半に助けがあります。阪神が悪だったらOK 相手側が代理人の代理行為に悪意だったら、代理権は本人のために成立する。
と条文後半で規定されています。
例えが悪かったですね、ボラスが鳥谷(選手)の為に代理行為しているなんて
阪神じゃなくても分かります。これじゃ顕名いらないじゃん。
そうじゃないのよ。
新たに条文を作ったぐらい、顕名とは代理行為において重要なウェイトを占めると考えてください。
ポテチ買ってきてと言われて顕名せずに買ってきたら、それは自分のためのポテチなのです!
店員さんは、代理人の為にポテチを売ったとみなされるのです!!
いや、無権代理行為を本人が追認したら本人に効力が発生するので、
「ポテチ買ってきたよ~」「ありがと~」で終わる話なのですが、
いやいやこの場合は、代理人に効力が生じた後、本人に譲渡したと考えるべきなのか……
と言う訳で、他の要素に瑕疵があったケースは以降続きます。
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