民法 代理 代理権

学習

前回では代理行為の3要素、代理権 顕名 法律行為を書き、
その内顕名に瑕疵があった場合はどうなるか、を中心に述べました。

今回は代理権に瑕疵があった場合、を条文から追っていきましょう。

第113条 無権代理

1 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。

2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない
第117条 無権代理人の責任

1 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。



結構重い条文ですね。本人の代理人を騙った、んだから本人と相手方に迷惑をかけています。
なので本人に代わっての契約履行か、損害を賠償する必要が求められます。全面降伏です。

条文にさらにプラスしますと、相手方は無権代理人との契約を取り消すことができます。
そしてもし無権代理人が死亡して相続が発生した場合、無権代理は有効に成立しませんが、
相手方は本人に無権代理のおかげで出来た責任(損害賠償など)を追求できます



なんで本人がこんなエラい目に合うか。追認の裏返しであります。
条文にある通り、無権代理行為は、本人の追認があったら有効に成立します。
無権代理行為に対して本人が迷惑であるなら、無権代理行為を拒絶していればよかった訳です。

そうすると、無権代理人を無権代理行為を相続するのは、無権代理人の相続人であり、
損害賠償請求は悪いやつの息子等に回っていたかもしれません。



相続の話は後々のお話ですが、こういったケースを取り上げれば、
相続人は何を相続するか知っておかないととんでもないエラい目にあう可能性があり、
日頃の家族会議なんて照れくさいですがキチンとしときましょう、というお話。

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無権代理の例

さてまとめましょう。AくんはBちゃんの為に甲コンビニでポテチを買いました。
BちゃんはそんなことAくんに頼んでません。

甲コンビニはA君に「あんたらの間のことなんか知らねーからポテチ売らない。」と言えますし、
「ポテチ欲しいんだろ?買ってけよ」と言えますし、「代わりに恵方巻いかがですか?」と言えます。
Aくんはごめんなさいしてもゴメンで済んだら警察いらないよね?となります。


でもBちゃんが「あ、ポテチ新味!食べたかったんだぁ」となればAくん晴れて自由の身です。
もしかしたらBちゃんは本当にAくんに頼んでたのに、忘れちゃってたかもしれません。
Aくんはスマホに録音でもしておけば、Bちゃんのためだもん!!と主張できる訳です。


そんな日常会話を録音するのは正直キモいんで、自分の代理権の証明は中々難しいですね。

さて117条2項

前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。

一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。

二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。
ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない



これも無権代理人の逃げ道です。
履行もしくは損害賠償を求められるのは、相手側の代理権に対する善意無過失が前提なんですね。

そしてピコーンマークの後の文章が、民法改正で加わった文章です。
相手方悪意でも、無権代理人が無権代理に悪意だったらダメだよ。をこねくり回して書いています。

一言いいかな?ないアルよみたいな書き方はやめていただきたい。

表見代理

さて次です。表見代理です。ここ宅建試験に出るよ~。(ボクの勉強は司法書士のつもり)
何故か。平穏な日常を送っているだけだと全く聞き慣れない言葉だから。

そして、今までみた民法は、あくまで人の営みとしては当然のことを文章にしたようなもんですが、
表見代理という制度は、その流れを少し曲げる制度だからです。


言うなれば、無権代理人の代理権を認めちゃおう。という制度。
表見の言葉通り、見た感じが代理人ぽかったら代理人だよね?という制度。
もっと突っ込めば、本人より相手方の保護を目的とした制度です。



民法の条文は109条、110条、112条ですが本文は割愛。

代理権を実際は与えていないのに、代理権を与えた旨を表示した場合。(委任状や実印を持っている等)

代理人が権限外の行為をして、相手方がそれを信じた場合。

代理権が消滅したのに代理行為をした場合。(例えば代理人が破産したら代理権は自然消滅します)


本人にすれば、代理権のない代理人に勝手にやられた行為なのに、
代理行為が成立する、と法が言っちゃってる訳です。本人にとっては酷な制度なんですが、

簡単に言うと、そんな奴に代理行為を与えた(与えたっぽく見せた)本人に帰責事由がある
だから相手方の保護を優先したのです。


なので当然ですが、表見代理の成立には相手方の善意無過失が大前提になります。



ではまとめましょう。AくんがBちゃんの為に甲コンビニにポテチを買いに行きました。
Bちゃんはそんなこと頼んでいません。

AくんがBちゃんの財布でポテチ買いました。
甲コンビニはポテチをBちゃんの為に売れます。

Aくんがポテチの他にコーラを買いました。甲コンビニはポテチとコーラをBちゃんの為に売れます。
AくんはBちゃんにフラれました。甲コンビニはBちゃんの為に…売れるかなぁ?



代理要素の3要素のうち、2要素に瑕疵がある場合を追ってきました。
次の回はもう一つの要素、法律行為(代理行為)に瑕疵があった場合を条文から見てみましょう。

コメント

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