民法 代理 法律行為

学習

代理の3要素、覚えていますか?ハイ皆さんで唱和しましょう。

「だ」 大体は
「い」 いままでやってきた感じ
「り」 理由はあとづけ

はいこれは僕の勉強方針ですね。改めて読み上げましょう、
代理権顕名法律行為 これが代理の成立する3要素です。

今回は法律行為に瑕疵があった場合、代理行為はどうなるかの条文を追っていきましょ
う。

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瑕疵

第101条 代理行為の瑕疵

1, 意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。



善意悪意、詐欺強迫のルールですね。これは代理人を基準にするよ。と明白に言っています。
例を出して考えてみましょう。

AちゃんがBくんにポテチ買ってきて、と頼みました。
Bくんは甲コンビニにポテチを買いに行きました。

Bくんにポテチの場所を聞かれた甲コンビニは、同じ芋だからといって、
Bくんに芋けんぴを売りました。
果たしてBくんは法律行為の取り消しを出来るでしょうか!?ちゅーか返品できるでしょうか!?



Bくんが「芋けんぴってポテチなんだね!」と純粋無垢無知な場合(詐欺に善意無過失の場合)
事実の有無は代理人に決するとありますから、Bくんの法律行為は取り消せます。

Bくんがポテチじゃなくて芋けんぴと知っていた場合(詐欺に悪意の場合)
これは過去に学んだ通り、Bくんの法律行為は取り消せません。
代理人基準なので、ここまでは簡単です。



じゃあもしBくんが純粋無垢無知の場合において、
Aちゃんが実は甲コンビニの店長さんが芋けんぴマニアで、
芋といったらポテチでもじゃがりこでもなく芋けんぴを押し付けてくる事を知っていたら!?


例えにしたら凄いわかりづらくなりましたので反省して整理します。
代理人Bくんが詐欺に善意無過失でした。これは取り消せます。
しかし代理を頼んだ、本人Aちゃんが詐欺に悪意でした。この場合はどうなるのでしょう。

それが民法101条の3項

3, 特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができないものとする。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とするものとする。



要約しますと、Aちゃん(本人)Bくん(代理人)にいじわるしないで、知ってるなら教えとけ。という話。


実はポイントがありまして、3項序盤にある、特定の法律行為というのが条文のキモであります。

特定なんです。今回の場合はポテチを頼みました。これは特定ではありません。

なのでAちゃんが詐欺に悪意でも、取り消しを出来る可能性が残ります。
Bくんが本当に本気でポテチと芋けんぴを間違えたかもしれないですから。

もしAちゃんがポテチはポテチでも湖池屋ののりしお以外認めないから買ってこいと「特定」したら、
Aちゃんが詐欺に悪意では取り消しできません。
Bくんもさすがに、湖池屋ののりしおと芋けんぴを間違えないだろう。と条文は言っているんですね。



瑕疵 強迫

強迫の場合も考え方は同じ、条文の2項で規定されています

民法101条2項

2, 相手方が代理人に対してした意思表示の効力が、意思表示を受けた者がある事情を知っていたこと又は知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。



甲コンビニの店員さんが、「芋けんぴ買わないと呪ってやる」と言ったなら、
Bくんはこの店員さんの性格を知っていようが知らなかろうが、返品できます。

じゃあAちゃんが甲コンビニの店員さんが変わった人芋けんぴを無理矢理売る人と知っていたら?
Aちゃんが「特定」していたなら、Bくんが呪われても取り消しできません。


もっともっと言うなら、心裡留保も錯誤も代理人が基準です。
心裡留保や錯誤の場合はどうだっけという方、復習しておくように。



1項と2項の違いは、1項は能動代理の規定です。
代理人が善意悪意、無過失有過失の場合の、代理人の意思表示の効力です。

2項は受動代理の規定です。
代理人が善意悪意、無過失有過失の場合の、相手方の意思表示の効力です。
意思表示の基本ルールの枠は出てません、それぞれ条文を押さえるのは面倒くさいんでテキトーで。

自己契約 双方代理

さて、長くなってきたんでちゃっちゃといきましょう。
「自己契約」、「双方代理」、やっちゃだめです。無権代理として扱われます


自己契約


AちゃんBくんにポテチたのみました。Bくんてば自分の家にあるポテチをAちゃんに渡しました。
あろうことか代金をもらいました。

このように、代理人と相手方を兼ねる代理行為を「自己契約」と呼びます。ダメです。
無権代理として扱うので、本人に効力は及びません。
なのでAちゃん、そんなポテチいらない!ってつっぱねることが出来ます。


双方代理

AちゃんBくんにポテチたのみました。
Bくんは甲コンビニにポテチの代金を払いましたが、
甲コンビニの店員さんも、BちゃんにAちゃん用のポテチ持ってってと頼んで小遣いくれました。

Bくんただの使い走りに見えますが、これもダメです。
本人と相手方より、同一の代理人が契約された場合も、無権代理として扱われます。
なのでAちゃんは当然ですが、店員さんもつっぱねることができます。Bくん大損。


ただし民法113条無権代理を読むとおり、本人の追認があれば有効となりますので、
自己契約でAちゃんが認めてくれたり、
双方代理でAちゃんも店員さんも認めてくれれば有効となります。 原則はダメよってこと。

復代理人

最後に復代理人についてちょっとだけ。
実はアウトプットの項目で先にやってしまいました。なので簡単に流します。

第104条 任意代理人による復代理人の専任

 委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。



まあ本人からすれば、代理人はその人自体を信用して代理人に選んだのであって、
勝手に代理人を増やされても、じゃあそいつは信用できるのか?という話。
なので本人の承諾や、やむを得ない事情(病気等)がある時のみ選任できますよ、と規定しています。


では問題。復代理人は誰を代理するか?
答え 本人   決して代理人を代理するのではないですよ。

もう一つ問題。復代理人を選任、解任するのは誰か?
答え 代理人

この2つの答えを見れば明らかです、本人は復代理人を選任されることに結構なリスクを負います。
なので改めて条文化した訳ですね。

第106条
 法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。この場合において、やむを得ない事由があるときは、前条第1項の責任のみを負う。

あれ、ぜんぜん違う条文が出てきました。何が違うかというと、今回は法定代理人です。
法定代理人の典型例が、未成年者の親御さんです。

法定代理人は、ポテチ買ってこい等特定の代理行為をするばかりではなく、
例えば未成年者の法律行為全般の代理行為をする必要があります。
大変だから復代理人を選んでいいよ、と規定したのがこの条文です。

ちなみに105条1項の責任を負うとは、復代理人の選任及び監督のことを指します。
代理行為そのものの責任は復代理人が負いますが、監督不足なら親御さんの責任って訳。
団野村の不始末はノムさんも負う、かも。いや団さん法定代理人じゃないし。レスト・イン・ピース。




そんな感じで代理の項目終わり、終わってみれば清々しさが残ります。
代理だけにだりいなんて思ったけれど、今思うのは双方代理と双葉理保って似てるよね。

で、つぎの項目にいきたいと思っていましたが、参考書を通して山本浩司先生に怒られました。

「”無権代理と相続”をやらずして何が代理か!!」
(フィクション)

ハイ代理はまだ続きます。

コメント

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