今回表題にもなりました「相続」についてと、
今までも多少言葉に出しました「制限行為能力者」については、
また改めて章立てして説明したいと思います。
特に「相続」については、民法を学ぶ上での1大ジャンルであり、
日常にある民法における「知っていると得する」の典型であり、
何かのついでに相続をちゃっちゃとテキトーなを説明する、
なんて姿勢なら何のために民法学習サイトなんてやってんの? と厳しく言われて当たり前であり、
皆さん遺留分は知っておくと得しますよ。 でもその説明はまた今度。
司法書士のお仕事
まだ前置きは続きます。
自己紹介欄で司法書士を目指す、と書いております。
文章の中身はそりゃ多少はフザけた部分もありますが、学習の指針としては全く本気の本気です。
んで、ワタクシはプライベートで相続やローンの借換え、会社の登記事項が発生したので、
過去10年ぐらいで司法書士さんに4回ほど仕事をお願いしたことがあります。
そこで思ったのが、司法書士って仕事としてどうなんだろう?
いや仕事として司法書士という職業を馬鹿にする気なんて全くこれっぽっちもありません。
例えばワタクシの場合、不動産の登記で20万ぐらい、会社の登記で10万ぐらいかかりました。
当然登記事項によってこの値段は変わってくるので、
一概に相場と言えるものではないことご了承ください。
請求額の大小だけみれば、士業は独立して食っていけるんだなぁなんて思うのですが、
貰った領収書を見てビックリ、不動産登記20万のうち司法書士報酬約5万、
会社登記10万のうち、司法書士報酬約3万でした。 後はほとんどが税金です。
これじゃ独立しても青息吐息、例えば事務員さんなんて雇う余裕はこれっぽっちもないんじゃね?
司法書士の仕事の花形は登記とは思うのですが、
田舎であればあるほど、そんなに不動産取引や活動中の会社が有るわけでなく、
実際に今時の司法書士として収入を得るなら、
多分「成年後見人」になるか、「相続に絡む」かがメインになるんじゃないでしょうか。
ただこの2ジャンルを収入の柱とした場合、よく考えてみましょう。
成年後見人。フォースの暗黒面に堕ちた人の、意思表示の代行。難易度凄く高くない?
例えばで考えてみましょう。
そこの貴方、ハリーの代わりに喝!!って言えますか?毎週。しかもサッカーの話題では必ず。
ちょっとセンシティブな話なので湾曲に湾曲を重ねています、ソーリー。
んで相続。これから少子高齢化が加速するのであれば、相続における司法書士の出番は多くなる、
んだけどね、良く言えば悲しんでいる遺族の為に遺産分割の話をする、んであり、
悪く言えば遺産分割で揉めている遺族のために線引をする、のが相続に絡むということ。
難易度凄く高くない?
んまぁ粛々と話を進められる方がこの仕事に向いてるんでしょうなぁ。
だから、って訳じゃないけどネット上で民法解説される方は、皆さん真面目そうなんでしょうなぁ。
他にも相続を学ぶと出てくるのが、相続人全員の同意を得る、という作業。
最近ニュースであったのが、「地域のコミュニティで共有して建物を所有していました。
その建物は老朽化したので壊したいです。」というニュース。
コミュニティの共有物なので、所有者が100人ぐらいいました。
亡くなっている方も多いので、所有権を相続した方も探さないと、建物を壊せません。
不動産登記にも絡む、相続の問題です。司法書士の花形といえる仕事でしょう。
でも実際は、最低100人~の同意をもらう作業。難易度の問題?こんなの無理でしょ。
という訳で金儲けとして見た場合の司法書士は魅力ゼロです。
民法を学んだ皆さんも分かっているんでしょうね、2010年の司法書士受験者は33166人でしたが、
2019年は16811人でした。10年で志望者が50%減るって、野球人口の比じゃないぞ。
じゃあ何で学ぶの?そこにロマンがあるからさ。
さて余談はこれくらいにして、無権代理と相続のお話です。
例題を出そうと思いますが、AちゃんBくんが死んじゃうと悲しいのでこれからはさん付けです。
本題 無権代理と相続
Aさんは資産家、Bさんは不肖の子供でした。
BさんってばAさん所有のマンション、甲さんに勝手に売っちゃいました。代理権も顕名も無しに。
したらばAさんが亡くなり、そのマンションは相続されてBさんの物になりました。
Aさんの意思はマンション売りたくありませんでした。BさんはAさんの意思を継げるでしょうか?
そんな訳ないよね。買った甲さんの意思表示はどうなるのよ?
本人(Aさん)、無権代理人(Bさん)、甲さん(相手方)と捉えて改めて文章にしますと、
無権代理人が本人を単独で相続した場合、無権代理人が追認を拒絶できません。
無権代理人と相手方の法律行為は有効となります。
じゃあ複数で相続した場合は?Aさんに不肖の息子Bさんと普通の息子Cさんがいました。
やっぱりBさんがマンションを勝手に甲さんに売りました。
今度はAさんのマンションを相続したのは、BさんとCさんです。
問題は相続したものです。例えばBさんがAさんのマンションを相続し、Cさんがお金を相続した。
こういった相続が成立したならば上記と話は同じですが、
同じマンションをBさんCさんの二人で相続したならどうでしょう。
マンションを2つに割って、「はいこっちは甲さんに売るね」とできるのでしょうか?
本当は出来ます。マンション、いわゆる区分所有建物は一戸ずつを別に売却譲渡可能ですから、
20戸のマンションなら10戸はCさん、10戸は甲さんの所有物に出来るはずです。
でもそれはBさんが正当に10戸相続して、正当に甲さんに10戸売却した場合の話。
今回は無権代理が有効無効、BさんCさん甲さんの意思表示のお話です。
裁判所は何の責任もないCさんの保護を考慮しました。民法1 利益衡量の考え方です。
Cさんと甲さんは赤の他人であり、意思表示無しに赤の他人と共有する不動産てどうなの?
結果、甲さんは損害賠償を請求できるが、履行は請求できない、と結論づけました。
では例の最後です。Aさんの不肖の息子Bさんが、勝手に甲さんにマンションを売りました。
しかしBさんは亡くなってしまいました。Aさんの立場はどうなるのでしょう?
これは無権代理人が死亡して本人が相続した場合の、本人と相手方の関係です。
相続というものは、財産という良いものばかりでなく悪いものも相続します。
今回親御さんのAさんは、Bさんの無権代理人という立場を相続してしまいました。
本来はAさんにマンションを売る意思なんてありません。
でも甲さんは取引を成立させ、マンションは自分のものになると思っています。
取引が成立したことを、Aさんは知りませんでした。
結果、Aさんは取引の成立(履行の請求)を拒むことが出来る。
ただし無権代理人の立場も相続しているので、甲さんは損害賠償を請求出来る、と結論づけました。
えーと、以上で無権代理と相続を終わります。
なんだか話のマクラに司法書士の収入の話を持ってきたり、
仮にも人が亡くなったケースの話をしてるとテンション上げようがないのよね。
これから先々相続の話もする予定だけど、人が死んでお金ガッポリでキャッホーイ!なんて書く?
その時はお酒飲みながら書いてるかもしれないけれど、許してちょうだいネ。
この口調はタイトルの「かま法」とは関係ありません、メイビー。
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