民法 復習 動産の物権変動

アウトプット

1、AがBに動産を譲渡し、引き渡した。
後に同じ動産をAがCに譲渡し、特例に基づいて動産譲渡の登記をした。
CはBに対抗できる。

答え
○  できます。動産の対抗要件は引き渡しです。
動産譲渡登記は、登記によって引き渡しに対抗できる制度として創設されました。

さぁ引き渡しの復習ですよ。
1、現実の引渡し
2、簡易の引渡し
3、指図による占有移転
4、占有改定

以上によって引き渡しが成立します。
問1から変化球ですが、動産の対抗要件の基本は引き渡しです。それを踏まえて動産の物権変動を考えてみましょう。




2、Aが動産をBに賃貸した。
Aが同じ動産をCに譲渡する契約に合意した場合、CはBに動産の引き渡しを請求できる。

答え
☓  賃貸されたB、賃借したBは第三者です。
第三者への対抗要件は、不動産は登記であり、動産は引き渡しです。
CはAと簡易の引渡しが成立したようにみえますが、簡易の引渡しの成立要件は、占有物を譲渡人かその代理人が占有している場合の、当事者の意思表示です。
Bはあくまで賃借人。占有を代理している人ではありません。
そして賃借人は第三者。第三者への対抗要件は…?

ちなみに指図による占有移転、この場合はAが占有者Bに対して譲受人Cのために占有すること、をしていれば、引き渡しが成立して対抗要件を備えます。




3、Aが動産をBに寄託していた。
Aが同じ動産をCに譲渡する契約に合意した場合、CはBに動産の引き渡しを請求できる。

答え
○  受寄者は第三者にあたらない、ので対抗要件を備えなくても、引き渡しを請求できます。
寄託って?→他人に預けることです。




4、即時取得できる権利は、動産の所有権に限られる。

答え
☓  まずは即時取得って何?という復習。
民法192条 取引行為によって、平穏にかつ公然と動産の占有を始めた者は、善意でありかつ過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

→動産の取引は、動産の占有者(例えば売り主)が、当然に動産の所有権を所持すると推定し、取引の相手方を保護する。のが目的の条文です。

んで問題文ですが、所有権以外にも「質権」も即時取得の対象です。




5、AがBに対する債務の担保として、C所有の動産をCに無断で質入れした。
質入れに善意無過失のBは、即時取得によって保護される。

答え
○  これがBの、該当動産に対する質権の即時取得の典型例です。

即時取得の要件を復習しましょう。
1、目的物が動産
2、相手方に処分権限がない
3、取引による占有取得、占有開始
4、平穏・公然・善意・無過失




6、登録を受けた自動車には、即時取得の規定の適用はない。

答え
○  自動車は動産ですが、「登録」という登記に似た制度があります。
登録が対抗要件になるので、上記答えの1~4を満たしてもイェーイ俺の車だぜ!とはなりません、残念。




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ブレイクタイム

7、Aが未登録の自動車をBに預けていた。
Bが自己の所有物であると偽って、Cに売却し引き渡した。
CはBの所有につき善意無過失でも、該当自動車を即時取得できない。

答え
☓  未登録の自動車はただの動産。
問5の4つの要件を満たしたCは、取引の安全により即時取得できます。



8、A所有の土地の立木を、Bが勝手に伐採してCに売却した。
CはBの所作に善意無過失でも、立木を即時取得できない。

答え
☓  立木も動産。Cは要件を満たせば即時取得できます。

BがAに、勝手に売ったことに対して責任を追求するのはまた別の話。
いやこんな問題が多いですな。




9、A所有の金銭をBが盗み出し、その金銭をCに譲渡した。
CがBの盗みに悪意だった場合、Cは金銭を即時取得できない。

答え
☓  金銭は即時取得の対象にならず、占有した者が所有権を取得する。
このケースは善意悪意も関係なし。
金銭の所有者を占有者以外に決めてしまうと、金銭本来の役割に対して色々メンドクサイことが発生するから、が理由だそうです。
金銭に金銭以外の価値(美術品としての価値など)がある場合は別。




10、A所有の動産をBが譲渡されたが、Aは制限行為能力者だった。
Bの即時取得は認められない。

答え
○  問5の3、取引行為で占有を始めたなら即時取得は成立しますが、
取引行為そのものに瑕疵があるならば、即時取得は成立しません。

というのが模範解答なんだけど、問8の窃盗されたものの取引行為も、取引行為に瑕疵があるんじゃないかと気になるワタクシ。

ちなみに問8の問題を少々変更して、Aの土地の立木を、Aの代理人と称するBがCに売却した。Bが無権代理人だった場合、Cが無権代理に善意無過失でも、Cは即時取得できない→この答えは○です。 
無権代理人の取引には、取引行為そのものに瑕疵があるから、だそう。
うーん、ボクの理解が追いつきません。




11、Aが動産をBに寄託した後、Cに動産を譲渡し、Cが指図による占有移転で引き渡しを受けた。
後にAがDへ同じ動産を譲渡し、指図による占有移転で同じ動産をDが引き渡しを受けた。
DがAが動産に関して無権利者であることに善意無過失だった場合でも、先に引き渡しを受けたCに即時取得を対抗できない。

答え
☓  Aの動産の2重譲渡になりますが、即時取得の要件を復習してみましょう。
1、目的物が動産→当然○
2、相手方に処分権限がない→ここが重要。Aは無権利者となっているので処分権限がありません。
3、取引による占有取得→指図による占有移転はOKよ。占有改定での即時取得は認められないことには注意ね。
4、平穏公然善意無過失→問題文の通り。
なんでDは即時取得の要件を満たし、Cに所有権を対抗できます。

正直な話、問10・11をあわせて、理解はできるんですが試験問題になったとき正答できる気が全くしませんよ。




12、土地を10年間占有し続け、時効により所有権を主張する者は、
占有の開始のときに善意であったことだけでなく、無過失であったことも推定される。

答え
☓  占有者は善意の推定は受けるが、無過失の推定は受けないため、無過失については占有者の立証が必要となる。

なんでこんな問題?それは即時取得との対比です。

即時取得を主張するものは、無過失が推定される→○
なので立証の責任は無いわけです。

すいません、今回の問題、難しくね?




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