前回に改正すんなよで終わった、売買の売り主の責任。
改正されちゃったものは仕方ないんで、旧法の要点だけここで復習します。
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、旧民法566条の規定を準用する以下略
旧法566条をかいつまむと、目的を達せない場合買い主は契約を解除できる。解除できないときは損害賠償の請求ができる。でした。
ボクも一応は旧法の時に参考書で勉強したり調べたりしたんですが、まぁ瑕疵担保責任を追求される例のほとんどが、シロアリに喰われた建物でした。
なんでやねん。隠れたが要件ならば、別に内部の腐食が進んでいた建物でもいいし、卑弥呼の遺物が出土した土地でもいいやん。
というかそもそもね、右にならえの例えをされるとね、ボクだけの勘違いだったかもしれませんがね、瑕疵担保責任を追求できるのは不動産だけ、だと思っちゃうんですよ。
贖罪は済んだようなので例に出すのはスマンのでぼかしますが、
買った食い物の蓋を空けるとゴキブリが入っていた。→隠れた瑕疵
蓋を開けたので契約の解除ができない。→旧566条に適合
じゃあ瑕疵担保責任の追求として、損害賠償請求だ。
当然ですよね。
ただし今日びのような、先にトゥイッターに上げちゃうような神経は大嫌いですが、
上の例の買い主は先にメーカーに伝えたらメーカーにつっぱねられたらしいですし、ごく正当な手順と個人的に思います。
まぁんなボク個人の感想はどうでもいいんですが、動産にも瑕疵担保責任は適用されるんですよ。
ボクが宅建士試験の勉強してる時、誰も教えてくれなかったよ酷いや。
…あ、宅建士の勉強だからか。
ちなみに契約不適合責任のついでに、不動産購入の際の心理的瑕疵の扱いはどうなるのか調べてみました。
心理的瑕疵とは?マイソクに「告知事項あり」とか(マイソクって何かは調べてみてね☆)大島てるに載っちゃうようなアレです。
うーん、心理的瑕疵で瑕疵担保責任は追求できる、の記事ばっかりです。
みんな、もう瑕疵担保責任はないんだぜ?時代は刻々と変化していくのサ。
自分のことは棚に上げますが、改正されたばっかりなので、心理的瑕疵のせいで契約の内容に適合しないかどうかの実例が、まだまだ少ないんでしょうね。
もしや大島てるはおまんま食い上げ?ボクのゴシップ魂に火が点きそうです。
契約不適合責任の内容
ゴシップ魂より勉強魂ですよね、失礼いたしました本題です。
改正された民法の条文を見てみましょう。
1、引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2、前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。
契約の内容に適合しない=旧民法で言う隠れた瑕疵も含まれます。
なんで、売り主の告知なく、また買い主の承諾もなく、典型例のシロアリに喰われた建物掴まされたら、「直してネ☆」とお願いできます。
もちろん動産にも適用されますよ。
たとえばいきなりステーキの量り売りで頼んだ量が来ませんでした。
客は「追加してネ☆」とお願いできますし、店は「今日は材料終わっちゃったからヒレであげちゃう☆」と異なる方法で履行できます。
いやステーキ屋は買い主の履行が無いですな。…いや、売買の契約の意思表示は成立してるからアリなのか?まぁ忘れて下さい。
スーパーで買った肉が、持ち帰ってグラム足りなかったら追加の肉を請求できるという話。
こういう話書くとクレーマー増えそうでいやぁね。
1、前条第1項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
2、前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
一 履行の追完が不能であるとき。
二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
3、第1項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前2項の規定による代金の減額の請求をすることができない
次の条文は、契約の内容に適合しなかったら減額請求できるよ、というお話。
内容の適合が絶対ムリムリ☆ならばすぐ減額請求できるけど、
基本は催告してから、と条文は言っています。
売り主も少しは保護しなきゃ、という姿勢が透けて見えますね。
ところで疑問に思ったんですが、同時履行の関係にあり、同時履行後に契約不適合が発覚した場合はどうなるんでしょう?
ちなみに、不動産の瑕疵担保責任を問われるケースで、例えば手付金を払った後に瑕疵が見つかったとします。買い主は残代金の支払いを留保できました。
この権利は多分一緒でしょうね、民法533条、同時履行の抗弁の条文に、本質の改正はありません。
動産の場合は…どうさんどうなんだろう?減額、というよりカネ返せ請求が出来るのでしょうか。
減額請求できるんだからそういうことなんでしょうが、何せ改正されたばかりで調べてもアレでした。
減額請求権だけじゃなく、代金一部返還請求権とか書いてもらわないと分からんよ。
この辺わかり次第修正しますのでよろしくお願いします。
ちなみに旧民法下では、買い主の代金減額請求は数量指示売買以外では認められませんでした。
ビール1ダース仕入れたのに1本足りなかった、そんな場合だけまけるのを請求することが認められました。
改正民法だと、例えばアサヒのつもりがキリン仕入れちゃった!
買い主の取る手段ははよ持って来い!か契約解除でしたが、改正されてじゃあ買うからまけてと請求できます。
いや実務レベルではそういうことやってたと思うが、法律のお墨付きがついたってことです。
賠償・解除
前二条の規定は、第415条の規定による損害賠償の請求並びに第541条及び第542条の規定による解除権の行使を妨げない。
民法565条 移転した権利が契約の内容に適合しない場合における売主の担保責任
前3条の規定は、売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないものである場合(権利の一部が他人に属する場合においてその権利の一部を移転しないときを含む。)について準用する。
相手方に一部履行が無かった時や、履行が途中で不可能になった時、賠償請求や契約解除が出来る、のは今まで学んだ契約のパターン通りなので細かくは省きます。
いままでは特則である瑕疵担保責任が優先されて適用される部分もあったけれど、売買契約として統一ルールを作るよ、が改正民法のキモ。
細かく見ますと、まず損害賠償請求権。ここで条文を出すのは見づらくなるのでやめますが、売り主に帰責事由のない債務不履行は、損害賠償請求できません。
前回触れた、天災等の危険負担は買い主だよということ。
次に解除権。
基本は催告が必要です。売り主の履行の一部が出来ないからといって、いきなり無かったことにしましょう、は通じません。
他に旧民法の瑕疵担保責任だと、契約の目的を達成することができない時に解除が可能でした。この記事の最初の方のそれ。
改正民法だと、条文の合せ技で、部分で契約の内容に適合しない時に、契約を解除出来る、と解釈できます。
売主は、第562条第1項本文又は第565条に規定する場合における担保の責任を負わない旨を特約したときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることはできない
ここは改正されていませんが、売買の説明のついでです。
追完しない特約は有効です。
しかし瑕疵(ついこの単語使っちゃうね)に悪意で告知しなければ有責。
だからマイソクに告知事項あり、と書いておくんですね。今は大島てるで簡単に知ることが出来る時代ですから。
よく見ると売主側に結構不利な要素が詰まった改正民法売買編。
本当ならメディアでもっと取り上げられたんでしょうが、世界が例のおかげで周知されているとは言い難い状況です。
ただ消費者の立場にあれば、有利な項目が増えたとも言えます。
周知されていない今だからこそ、先に知ろうじゃありませんか。
そう、末端の営業マンぐらいになら勝てるように。アー○○バンやレオ○レスに対抗出来るように。
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