民法 復習 無効と取り消し

アウトプット

1、取り消しが可能な行為は、取消権者によってのみ取り消せるので、誰でも取り消しを主張できる訳ではない。
対して無効である法律行為は、何人の主張も待たずに効力の無いものとして扱われるから、無効を主張できる本人、相手方に制限はない。

答え
☓  取り消しは誰でも主張できませんので、前半は正解。
対して無効はいつでも誰でも主張できるのが原則←ここは重要。

しかし意思無能力による無効は、表意者のみが主張できます。意思無能力者は何も制限行為能力者に限らず、泥酔者なんかもそう。

また通謀虚偽表示をした場合、通謀はそもそも無効ですが、善意の第三者には主張できません。




2、主たる債務者が行為能力の制限によって債務を生じさせた場合でも、主たる債務者の保証人は取消権を行使できない。

答え
○  取消権者は限定されています。
本人・代理人・承継人 制限行為能力者の法定代理人。

ちなみに制限行為能力者が代理人になることは可能でして、他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為は、当該他の制限行為能力者も取消権者となります。←新民法の追加条文 




3、未成年者AとBが売買契約を交わした。未成年者Aの法定代理人Cがこの売買に同意していなかった場合、未成年者Aが単独で売買契約を取り消した時、法定代理人Cは未成年者Aの取り消しを取り消しできる。

答え
☓  ダメです。
制限行為能力者が行った「取り消す」行為は有効です。
法定代理人の同意なくても有効です。それを取り消すなんてとんでもない。




4、無効である法律行為で給付を受けた場合、効果が当初から生じないから不当利得返還請求が出来る。
対して取り消しできる法律行為で給付を受けた場合、取り消さない限り有効なので、取り消されるまでは不当利得返還請求権はない。

答え
○  民法121条 取り消された行為は、初めから無効であったとみなす。
取り消しって行為がないとダメなんですな。

そして取消権は追認可能なときから5年、行為の時から20年で消滅時効にかかります。
この知った時から5年、実際の行為から20年、ついでに債権の場合は行使可能から10年で消滅時効にかかる、民法改正で統一ルールになったんで、覚えちゃいましょう。

まぁここで覚えなくても、いずれまた書くと思うが。




5、成年被後見人が、売却し500万を得た。100万を遊興費に使い、生活費に50万使った後、売買契約を取り消した。
当該成年被後見人が返還するべき金額は、遊興費100万と残額350万合わせて450万である。

答え
×  制限行為能力者は現に利益を受けている限度において返還の義務を負う。
なんのこっちゃ?浪費した分は利益が現存しないので返還しなくていい。
債務の返済や生活費は、財産はその範囲で減るので現に利益を受けているから返還する。
なので正解は残った350万+50万の400万です。

一般論とは真逆の結論です、注意しましょう。

ちなみにこの規定は旧民法121条但し書きでしたが、新民法では121の2にまとめられました。




6、AとBが売買契約を交わした。Bの詐欺により、Aは契約を取り消した。
6年経過後、AはBに売却物の返還を請求出来る。

答え
○  取消権は追認できるときから5年行使しないと消滅時効にかかりますが、
所有権は消滅時効にかかりません。
一緒にやっとけよ、とは言わないお約束。




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取り消しと追認



7、無効な行為を追認すると、行為の時にさかのぼって効力を生ずる

答え
×  民法119条 無効な行為は追認によっても効力を生じない。
無効と知って追認した時は、新たな法律行為として追認時から有効になる
通謀虚偽表示の無効などですね。この場合に追認するとさかのぼりません。
ついでに言うと、通謀虚偽の追認には、通謀した二人の追認が必要です。




8、未成年者Aが法定代理人Cの同意を得ないでBと契約した。
Cが契約を追認した場合、当該契約は契約行為の時にさかのぼって効力を生ずる

答え
○  一般的な追認の効果です。これは無効な契約はなく、取り消し出来る契約ですね。なので当然追認は有効。
無権代理行為への追認も同様の効果となります。民法116条チェック。




9、AとBが売買契約を交わした。BはAに詐欺をして売りつけた。
Aが詐欺に気づかないままCに譲渡した場合、契約は追認したとみなされる。

答え
×  民法124条 追認は取り消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その効力を生じない
今回の場合は詐欺に気付くことが原因の消滅です。
仮に詐欺に気付いた後の譲渡だと、追認の効果が生じ、契約は交わした時から有効となります。

ではちょっと変化して意思表示の問題。問題文ままの状況が起こったとして、法で守られるのはA?C?

答えはCが善意無過失ならCです。たまには基本をやり直すのもいいもんですな。




10、取消権者が債務の履行をした場合、追認したとみなされるが、
取消権者が債権者として履行を受けた場合、追認の効力は生じない。

答え
×  履行を受けても追認です。
追認したとみなされる、いわゆる法定追認は以下。
履行(履行を受けることを含む)←この問題
履行の請求
更改 (新しい契約に変える行為)
担保の供与(担保の受け入れを含む)
取消すことができる行為によって取得した権利の全部または一部の譲渡←これが問9
強制執行




11、AとBが売買契約を交わした。Bが詐欺を働き、Aはそれに気付いた。
AがBの代金を払う前にBの動産の引き渡しを受けた場合、追認の効力は生じない。

答え
×  原因が消滅した上で、履行を受けました。法定追認の効力が生じます。
当然ですが代金を払う(履行した)場合も追認の効果が生じます。




12、AとBが売買契約を交わした。Bは詐欺を働き、Aはそれに気付いた。
Aが代金の請求をした場合、その際に異議をとどめていれば、契約を取り消すことができる。

答え
○  民法125条後半、追認したとみなすが、異議をとどめたときはこの限りでない。
異議をとどめるとは?異議を保留した承諾であり、後で異議を申し立てる余地があります。
この場合はBに対して、「あんたウソついたでしょ、請求はするけど追認するつもりはないよ。」で異議をとどめたと言えます。

…これさ、録音するとか証拠残しとかないとダメだよなぁ、相手ウソつきだし。



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