民法 復習 錯誤と詐欺

アウトプット

1、相手が資産家であると誤信し、婚姻した場合、「資産家だから婚姻した」と表示しても、婚姻について錯誤を主張できない。

答え
○  錯誤は、身分行為については主張できません。
資産家だ!と誤信した場合もそうですし、相手が女だ!と誤信した場合も錯誤は主張できません。

ちなみに日本では同性婚はできません。なので無効を主張するまでもないんですが、もし同性婚が認められるようになっても、やっぱり同性婚への錯誤は主張できないんでしょうねぇ。

他に、養子縁組、離婚なども身分行為に含まれます。




2、家庭裁判所が相続の放棄を受理した場合、その相続放棄をした者は、相続放棄について、錯誤を主張することができない。

答え
☓  出来ます。

相続放棄の取り消しは法律上は出来る→実際はほぼ無理。
相続放棄の撤回は不可能。
以上とごっちゃになる問題です。細けぇ暗記学習ほどつまらんものはないですが、反復して無理やり詰め込んじゃいましょう。




3、AとBが契約を交わした。Aに重大な過失があった場合はAは錯誤を主張出来ないが、BはAの錯誤を主張出来る。

答え
☓  出来ません。
錯誤は表意者が主張できなければ、相手方も、更に例えばBの債権を買った第三者Cも主張できません。
問題のケースは重過失ですが、過失なく動機の錯誤があっても、表意者がその錯誤を主張する意思がない場合は、相手方も第三者も錯誤無効を主張できません。




4、相手方を強迫し、完全に意思の自由を奪っている状態での相手方の意思表示は、
意思表示の取り消しをしなくても無効となる。

答え
○  取り消し行為は本人が能動的に行わないとなりませんが、
意思の自由を完全に奪っている強迫は、取り消すまでもなく無効となります。




5、AがBを騙して売りつけた。Bは騙されたと知らずに、同じものをCに売りつけた。
CはBとの売買を取り消すことが出来る

答え
×  できません。
詐欺による取り消しを主張するには、相手方の「詐欺」の事実が必要です。
詐欺の要件とは、相手方を欺いて錯誤に陥らせようとする故意と、
その錯誤によって意思を表示させようとする故意 の2段が必要です。
Bは詐欺の故意がありません。




6、AがBを騙した。BがAの虚偽を信じてCに対して売買契約を勧めて締結した場合、
CはBとの売買を取り消すことが出来る

答え
×  できません。
問5の変則です。
民法96条2項、第三者が詐欺を行った場合は、相手方がその事実を知りまたは知ることが出来た時に限り、意思表示を取り消すことができる。
逆にBがAの虚偽をうさんくさいと思ったと証明できれば、Cは取り消し出来ます。



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7、A・B間で売買契約を交わした。Aは売却物が偽物と知っており、Bが偽物と知らずに買うことも承知していたが、 
偽物であると通知せずにBに売却した。
Aによる働きかけがないので、Bは詐欺での取り消しを主張できない

答え
×  詐欺は積極的に告げる行為に限らずに、ただの沈黙(黙字的な行為)も詐欺となる場合があります。
この問は「主張できない」と言い切っていますので、正解は×、
正確には「主張できる場合がある」です。




8、A・B間で売買契約を交わした。Aは売却物が偽物と知っており、Bが偽物と知らずに買うことも承知していたが、
偽物であると通知せずにBに売却した。
Bが詐欺を主張する場合と錯誤を主張する場合に違う点は、
詐欺を主張した場合は善意無過失の第三者に対抗できないが、錯誤を主張した場合は善意無過失の第三者に対抗できる。

答え
×  改正前民法では、錯誤によって取り消した場合の第三者への規定は特にないため、第三者は対抗出来ましたが、
改正後民法では95条4項で明文化され、錯誤でも善意無過失の第三者に対抗できなくなりました。




9、A・B間で売買契約を交わした。Aは売却物が偽物と知っており、Bが偽物と知らずに買うことも承知していたが、
偽物であると通知せずにBに売却した。
Bが詐欺を主張する場合と錯誤を主張する場合に違う点は、
詐欺を主張して取り消す場合は期間の定めがあるが、錯誤を主張して取り消す場合は期間の定めは無い。

答え
×  改正前民法は「錯誤無効」でしたが、改正後民法は「錯誤は取り消せる」です。
なので錯誤は、民法126条、取消権の期間の制限の適用を受けます。
ついでに124条、125条の適用も受けますが、一々覚えるのも面倒なので錯誤は厳しくなったよ~ぐらいにしときましょう。
時間のある人は改正民法チェック!




10、Aの土地にBが1番抵当権、Cが2番抵当権を設定していた。
BがAに騙されて1番抵当権を放棄し、更に詐欺を理由として放棄を取り消した場合、
Bは善意のCに対して取り消しを対抗出来る。

答え
○  できます
詐欺による意思表示の結果、反射的に利益を取得したに過ぎない者は、96条3項の第三者に当たらない。←判例
初見で間違えましたし、復習でも間違えました。反射的利益って何だよ?
たまたま手に入った利益。だそうです。解釈する人間のさじ加減一つじゃね?




11、Aの代理人BがCと売買契約を交わした。
相手方Cの意思表示が本人Aの詐欺の結果であり、代理人Bがその事実を知らなかった時、Cは契約を取り消すことができない。

答え
×  取り消しできます。
一見すると第三者詐欺のようですが、代理関係にあるので相手方は取り消し主張が出来ます。
ちなみに代理人が詐欺をして本人が詐欺に善意でも、相手方は取り消すことが出来ます。




12、A・B間で建物の売買契約をした。
AがB所有の建物の瑕疵に気づかず、瑕疵の無いものとして契約した場合、
Aが主張するのは錯誤の規定よりも瑕疵担保責任の適用を優先する。

答え
○  一応○らしい。民法という大きな枠より、特則である瑕疵担保責任を優先させようと考えられる。

んだけど民法改正があり、瑕疵という言葉が無くなりました。
代わりの言葉が契約の内容に適合しないもの、「契約不適合」になりました。
しかも契約不適合責任、今までは特定物に限られましたが、改正民法では特定物・不特定物を問わなくなりました。
問12のような問題はこれからは試験に出ないでしょうが、旧瑕疵担保責任と現行法の違いの細かい所は出てきそうですね。
その違いの細かい内容ははまたの機会に。


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