今回はアウトプットです。
1、A・Bが通謀し、AがBに売却したと仮装した。Bが通謀に対して善意無過失のCに転売した。AはBから請求されたならば、Bに引き渡さなければならない。
答え
☓ 通謀虚偽表示は無効です。A・B間の取引は無効になるので、Aは引き渡す必要はありません。
善意無過失の転得者Cからの引き渡し請求は拒めません。善意の第三者に対抗できない、という民法94条の条文です。が、この問題で問われているのは全く別の問題です。相変わらずのいじわるですね。
2、A・Bが通謀し、Aの債権をBに譲渡したと仮装した。債権の譲渡を債務者Cに通知したとき、Cが通謀虚偽に対して善意無過失であったら、BはCに対し債権の譲渡の無効を主張できない。
答え
☓ 無効主張できます。
仮装の債権譲渡があった際の債務者は、94条善意の第三者に該当しません。
債権の譲渡があったことで正当な利益を有する、んじゃないからです。
悪い人間が得?するパターン
3、A・Bが通謀して、Aの債権をBに譲渡したと仮装した。債権の譲渡を債務者Cに通知したとき、Cは異議をとどめないで承諾した。CはBから債権の弁済請求を拒むことができない。
答え
☓ 通謀虚偽表示は無効、なので拒絶できる、のが一点。
さらにもう一点、民法改正で旧民法468条2項「異議をとどめない承諾をした場合は以前の抗弁であっても主張きなくなる」が廃止されました。
異議をとどめない、というのは「は~い」ぐらいの意思表示でも異議をとどめないとされるので、債務者の保護に欠けるとのことで抹消されました。
4、A・Bが通謀して、Aの土地をBに売却したと仮装した。Bはその土地に建物を建築し、通謀に善意無過失のCに賃貸した。Aは土地の売買が無効であるとして、Cに建物の明け渡しを請求できない。
答え
☓ できます。土地と建物は別。
Cは土地に対しては94条善意の第三者ではないので、対抗できません。
5、A・Bが通謀して仮装した。AはCの代理人であった。本人Cが通謀虚偽に対して善意無過失だった場合、相手方Bは、本人Cに対して無効を主張できない。
答え
☓ できます。
代理人と相手方の通謀虚偽に関して、本人は94条第三者にはあたりません。
代理権を与えるというのは結構重いんですな。
6、A・Bが通謀して、Aの土地をBに売却する契約を仮装した。Bに対する金銭債権を持つ通謀に善意のCが、自己の債権の保全のため、Bに代位して、Bへの所有権移転登記をAに請求した。AはCに対し、売却契約は無効と主張できる。
答え
○ できます。
単なる一般債権者は、94条第三者にはあたりません。代位しても同じく第三者にはあたりません。
ブレイクタイム
7、A・Bが通謀して、Aの土地をBに売却する契約を仮装した。Bに対する金銭債権を持つ通謀に善意のCが、自己の債権の保全のため、土地を差し押さえた。AはCに対し、売買契約は無効と主張出来る。
答え
☓ 一般債権者は差し押さえると、94条善意の第三者にあたります。
一般債権者なんてスライムみたいなもんですが、差し押さえるとさまよう鎧にレベルアップするんですね。序盤の強敵!ホイミスライム呼んじゃう!!みたいな。
8、A・Bが通謀して、Aの建物をBに売却する契約を仮装し、所有権移転の登記をした。Bに対する金銭債権を持つ通謀に善意のCが、建物を差し押さえた場合でも、CのBに対する債権が仮装の売買契約の前であるときは、AはCに売買の無効を主張できる。
答え
☓ 差し押さえた一般債権者はレベルアップしたのです。
Cの債権の発生時期は関係ありません。ドラクエⅢのさまよう鎧でもドラクエⅤのさまよう鎧でも中身は同じなのです。
スイマセンこの例え反省してます。
9、A・Bが通謀し、AがBに売却したと仮装した。Bが通謀に悪意のCに売却し、Cが善意のDに売却した。AはDに売買の無効を主張できる。
答え
☓ できません。
通謀虚偽表示に関して転売に転売を繰り返した場合、たとえばこの問題の延長でDが悪意のEに売却しEが悪意のFに売却し…となった場合でも、途中に善意の第三者が一人でもいれば、無効主張はできません。
10、A・Bが通謀して、Aの建物をBに売却する契約を仮装し、所有権移転の登記をした。Aが善意のCに譲渡し、Bが善意のDに譲渡した場合、Dは登記が無ければCに対抗できない。
答え
○ 不動産の所有権は登記絶対、から考えれば簡単に分かる答えではあります。
ポイントは、通謀虚偽は無効なので、CとD共に登記が無い状態だと真の所有者はA、ということですね。
11、A・Bが通謀して、Aの建物をBに売却する契約を仮装し、所有権移転の登記をした。
AがCに譲渡した場合に、Bは登記があるのでCに対抗できる。
答え
☓ 問10の併せ技です。
通謀虚偽表示は無効です。真の所有者Aから、通謀でなく正式に譲渡されたものなので、Cは登記なくしてBに対抗できます。
12、A・Bが通謀して、BがAに対する金銭債権を得たと仮装した。Bが金銭債権を通謀に善意のCに譲渡した場合、AはCに対して、金銭債権の発生は無効であると主張できる。
答え
☓ できません。仮装債権の譲渡を受けた者は94条第三者になります。
一般債権者とややこしいですが、混同しないように注意しましょう。
そう、一般債権者はスライムですが、差し押さえるとさまよう鎧に…!
そして仮装債権の譲渡を受けた債権者もさまよう鎧に…!!
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